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[ゐ]ゐ太夫のぶろぐ

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【文学】実は1964年ノーベル文学賞に日本人作家が4人も候補に挙がっていた!日本文学の興隆と世界的評価の時代

最終更新:2016年12月1日
1964年のノーベル文学賞に「日本人作家」4人が同時に候補に挙がり、最も受賞に近い位置まで残ったのは谷崎潤一郎だったという事実が2日に開示されたスウェーデン・アカデミーの議事録から明らかになりました。

この年は世界の76人の作家が候補になり、日本からは谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫、詩人の西脇順三郎の4人が入り、谷崎潤一郎は最終候補直前の「特に注目すべき作家」の1人として6名の中に残ったものの、最終的には受賞拒否に至ったジャン・ポール・サルトルが選ばれています。

周知の通り、川端康成は1968年のノーベル文学賞に選ばれていますが、谷崎潤一郎はこの4人同時ノミネートの翌年1965年に亡くなっており、サルトルの受賞拒否の経緯の関係からも、この年にノーベル文学賞受賞が果たされなかったことが悔やまれます。

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4人のノーベル文学賞候補

日本人が同年に4人も「ノーベル文学賞」候補に挙がっていたという驚きのニュースが2015年1月3日の朝のNHKニュースの中で報じられました。

1964年のノーベル文学賞候補に、小説家の谷崎潤一郎や三島由紀夫ら日本人4人が含まれていたことが2日、選考主体のスウェーデン・アカデミーの新資料により判明した。谷崎は最終選考の対象となる6人の候補に残っており、受賞に近い位置にいたことも分かった。

 資料は共同通信の請求に応じて同アカデミーが開示した。谷崎は60年にも最終選考の対象となる5人に残っており、選考委員会から継続的な評価を得ていたことがうかがえる。

 64年の文学賞候補は計76人。日本人では谷崎、三島の他に、川端康成と詩人の西脇順三郎も候補となっていた。

 64年の選考は谷崎を含む6人から、フランスの作家・哲学者サルトルら2人に絞り込まれた。最終的にサルトルへの授与が決定したが、サルトルは受賞を拒否した。

 ノーベル賞の候補者名や選考過程は50年間にわたり非公開。今回の日本人候補4人はいずれも、前年の63年にも候補となっており、うち三島が最終選考の対象となる6人に残っている。

引用:共同通信

谷崎潤一郎は1960年にもノーベル文学賞の最終候補直前の6人に選ばれていました。

ただ、選考委員の1人は谷崎の美学や感性は評価しつつも、「彼の技術は最高のものであるとは思えない」とか、「作品にあるサディズムは、西洋人の読者からは受け入れられにくいと思う」という見解を示しています。

前述していますが、谷崎潤一郎は翌年に死去しており、格調高く独特の感性を持って築き上げてきた「谷崎文学」が当時の選考委員達に高い評価を得られなかったことは残念でなりません。

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この候補4人の中では、一番「日本的」とも言える谷崎独特の作風は、1964年までは未だ日本人が誰もノーベル文学賞を受賞していなかったという経緯が高評価に繋がらなかった遠因であった可能性も推測出来ます。

今でも色褪せない氏の「美的感覚」「文体の気高さ」が西洋人に理解されるには、時期が早すぎたのかも知れません。

三島由紀夫も1963年に同じく最終候補直前まで残っており、また三島の師である川端康成は1968年にノーベル文学賞受賞を果たしており、この時代の日本人作家の世界的評価の高さを改めて知らされるとともに、現在日本作家で名前が挙がるのは、村上春樹のみという事実が日本文学の盛衰を表わしているのかもしれません。

今年で戦後70年を迎える日本にとって、戦後から未だ20年前後のこの時代に文化・芸術面に於いても既に興隆を極め、世界的評価を受けていたことは、改めて我が国の先達の素晴らしさを認識させ、併せて今後の日本の文化・芸術の在り方・方向性を鑑みるいい契機であるとも考えられます。

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