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【書評・レビュー】『その女アレックス』ピエール・ルメートル 著 史上初!日・仏・英6冠受賞 話題の作品!

最終更新:2015年10月31日

『その女アレックス』著者:ピエール・ルメートル 訳者:橘明美 文春文庫 あらすじ・感想

余り馴染みの無い「フランスミステリー」で、現代フランスミステリー界を代表する気鋭の作家、ピエール・ルメートル氏による作品。フランス文学の匂いを漂わせる一流の文学作品でありミステリー作品だ。

「イギリス推理作家協会賞」母国フランスでは「リーヴル・ド・ポッシュ読者賞」日本では「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「ミステリが読みたい」「IN POCKT文庫翻訳ミステリー・ベスト10」の6冠を受賞している。

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物語はパリの路上で若く美しい女(アレックス)が誘拐される所から始まる。

「おまえが死ぬのを見たい」アレックスを監禁した謎の男は、その言葉以外何も発しない。

そして、目撃者からの通報を受けパリ市警の警部カミーユをリーダーとした捜索班が捜査に乗り出す。

しかし唯一の目撃者の証言は余り頼りにならず、被害者の行方は疎か身元も誘拐犯の正体、目的も割り出せない。

死の恐怖に怯え衰弱していくアレックスと、手掛かりはほぼ皆無に等しい市警カミーユ達の懸命の捜索と推理が短い章でそれぞれの視点で交互に展開されていく。

本の帯の注意書き「101ページ以降の展開は、誰にも話さないでください」の通り、そこから話は急展開に継ぐ急展開といった様相を魅せ、読む者を翻弄する物語へと発展していく。

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普段よく目にする「英米ミステリー」「日本のミステリー」とはひと味違った「フランス文学」の情緒を漂わせた作品で、
ミステリーとして逆転に継ぐ逆転劇を展開させつつも、孤独な美女アレックスが抱える心の闇の描き方、
捜査に当たるカミーユの心の闇の部分といった内面の描写、カミーユと捜査班として組んだ刑事達との
微妙な距離感と紐帯等を織り交ぜていく描き方は、文学作品としても秀逸だ。

最近の日本のミステリー作品によくある完璧過ぎるトリック、巧緻を極めたプロットを求めていくと、
違和感を感じる部分はあるかもしれないが、逆に最近の余りにガチガチに固めたミステリー作品に
辟易している私には、このルメートル氏の作風の方がしっくりと来たというのが正直な感想だ。

また海外ミステリーによくある横文字の登場人物ばかりで、名前で混乱し「登場人物欄」を参照しながら
読み進めていくことは一度も無く、それぞれ魅力的な登場人物のキャラクターが印象深く残り、
訳者の橘氏の自然な翻訳で、ごく自然に物語の世界へ没頭出来た。

著者のピエール・ルメートル氏は脚本家としてもその名を知られ、この作品の映画化も決まっている様だ。

むしろ作家としてのデビューは遅く、未だ7作品の上梓ではあるものの、日本での翻訳作品が今作と『死のドレスを花婿に』の2作品のみに留まっており、残る作品の翻訳出版を期待する読者の声は少なくないであろう。

ミステリー好きの方もそうでない方も、楽しめる素晴らしい作品だと思っている。

前述した5作品はもとより、今後のルメートル氏の作品にも大いに期待したい。

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