更新:2018年8月8日
著者:高橋弘希 『指の骨』 新潮社 第28回三島由紀夫候補作 新潮新人賞受賞 152回芥川賞候補作品 あらすじ・感想
久方ぶりに「純文学雑誌」なるものを買い込んだ。以前は、毎号何誌も濫読していた時期もあったが「純文学誌」を読むのは、数年ぶりだ。
今月発売の「新潮」「群像」「文藝」「すばる」4誌は、それぞれの「新人賞」発表号でもあり、新進気鋭の「純文学作家」を探し出したい意味合いもあった。
(※当記事は文芸誌「新潮」新人賞受賞時に執筆したものです)
作風・あらすじ・書評
「新潮」の新人賞作品『指の骨』には、新人作家とは思えない「表現力」「話に引き込む力」「圧倒的な存在感」を強く感じさせ、
選考委員、全員一致で即受賞が決まったというのもなるほど頷ける内容であった。
舞台は太平洋戦争の南方戦線、ある架空の島の「野戦病院」での出来事が、作品の大半を占める。
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作者の高橋弘希氏は、未だ三十代と若いのだが、まるで作者が実際に当時のその戦地に出兵していたかの様なリアルさが表現され、また戦友達の儚い死に様を描きつつも、
反戦でもなく戦争を美化するでもなく、主人公に淡々とその様を語らせる手法は、戦争を描く作品にありがちな押しつけがましさも無く、好感が持てる。
選考委員の方も論評されていたことで、2,3点あれ?と思う部分はあるのだが、物語に引き込む力は今後「エンターテインメント」でも
十分のやっていける作家だという認識を持った。
今後、どの様な形で作品を紡いでいくのか、どういった世界観を描いていくのか、久しぶりに「純文学誌」を読み、この様な新人作家に出会えたことは、
文字通り僥倖に出会えたというのが、私の正直な感想だ。
(※当記事は文芸誌「新潮」新人賞受賞時に執筆したものです)
その他作品・芥川賞・直木賞関連
祝!高橋弘希氏『送り火』で第159回芥川賞受賞!
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『指の骨』第28回三島由紀夫賞ノミネート記事
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