短期決戦に全くといっていいほど勝てなかった「タイガース」
昨日のファイナル第2戦では、先発の岩田がピッチングはもちろん、
出塁してから、走者として気迫のホームインスライディングまで魅せ、
打撃陣を鼓舞した。
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そのタイムリーを打ったのは今季セカンドのレギュラーを獲得した上本。
この2人には、ある共通点がある。
2人とも「今季ダメなら、クビを覚悟」という不退転の決意で、
今年のシーズンを迎えたのだ。
岩田はキャンプ中から「あかんかったらクビ。もう後がない。今までの自分は捨てる」
と、自分自身に言い聞かせるように、何度もコメントした。
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大阪桐蔭から関西大を経て2005年に自由獲得枠で入団。
2008年に10勝10敗で、初の二桁勝利を飾るも、その後は二桁には及ばず。
勝ち数と負け数が同じ、もしくは負け数が上回る投手だった。
「今までの自分を捨てる」決意をした岩田は、守備時間の長さから
野手陣が攻撃時もいい間合いで入れないことを悟り、
これまで長かった投球間隔をテンポの良いものに変えた。
プロ生活9年、30歳になる投手にとって、投球テンポを変えることさえ、
もしかしたら、これまで以上にダメになるかもしれないと言った
ある意味賭けの様なものだったはずだ。
しかし、その変化はいい方向へと進み、投球テンポが良くなったことにより、
勝てる投手へと変化した。
2008年以来の二桁勝利は「お預け」となったが、今季終わってみれば、
ローテーション投手として外せない投手へとよみがえった。
そして、上本も同じく「今季ダメなら、クビ」覚悟で臨んだシーズン。
若手への移行をはかり「選手会長」になったが、これまで実績といえるほどの
実績はあげていない。
広陵高校から早稲田大へとエリート街道を歩いたきた、野球センス抜群の
上本だったが、2013年にはセカンドにメジャー帰りの西岡が座った。
それでも、上本は腐らずファームで虎視眈々とレギュラーの座を狙い
「今季ダメなら」と臨んだ今季開幕シリーズで西岡が重傷を負い、
巡ってきたチャンスをトップバッターとして、長打もある意外性と
チャンスに強い打撃を売りに、セカンドレギュラーの座を射止めた。
西岡が故障から一軍へ上がってきても、セカンドのポジションを
明け渡すことは無かった。
そして話は昨日のシーンへと戻る。
勢いをつけて2戦目も、モノにしたいタイガース。
一発が怖い東京ドームでは、何が何でも先取点が欲しい3回のチャンスの場面。
岩田は四球で歩き、西岡の内野安打でセカンドへと進む。
ここで上本が食らいつく形でセンター前へヒットを打ち、
岩田は投手でありながら、本塁まで突っ込む。
センターからの返球もほぼストライク送球で、微妙なタイミングではあったが、
岩田の激走は、必死のスライディングへと繋がり、捕手小林のタッチを
なんとかすり抜け、セーフの判定。
ファイナル第2戦のどうしても欲しかった先取点は、上本が打って、
岩田の激走で生まれた。
そして、岩田はその後も好投し、井端の本塁打の2失点のみで
マウンドを降りた。
この瞬間、私が感じたのは月並みな表現で恐縮だが
「ああ神様ってやっぱりいるんだな」ということと
「努力はウソをつかないな」ということであった。
「クビを覚悟」で臨んだ2人が、クライマックスシリーズの大舞台で、
走者・岩田、打者・上本で先取点を獲ったのだ。
偶然といえば偶然であるし、その話を知らなければ
「岩田は投手なのに、よう走ったな」で終わっていたかもしれないが、
野球の神様、運命的なものを感じずにはいられなかったのだ。
自ら「背水の陣」を敷き「不退転の決意」を持った強い気持ちの選手ほど
強いものはない。
タイガースに、こういう気持ちの選手がいることが、本当に嬉しいし、
2年目の藤浪も宣言したように「日本一」を獲って欲しい。
少し熱くなりすぎたかもしれないが、岩田、上本。