PGAツアー参戦2年目にして既に名実共にトップクラスの仲間入りを果たしている松山英樹。世界を舞台に安定した活躍を魅せる「強さの秘密・理由」「今後の課題」について特集として連載します。
今後「スタッツ面」「技術面」「先達達の評価」等、不肖筆者ゐ太夫が様々な角度から検証し、取り上げていく予定です。
第一回目は「帝王」ジャック・ニクラスの「松山英樹に対する評価」から読み解きます。
PGA参戦2シーズン目の今季、松山は飛躍的な成長を遂げている最中でありながら、相対的に見ても世界レベルでもハイレベルな安定感を誇っています。
先の「全米オープンゴルフ2015」では惜しくも最後まで優勝争いを続けることは出来ませんでしたが、松山の目は既に来る「全英オープン」制覇に照準を合わせています。
これまでメジャーやPGAにチャレンジしてきた多くの日本人選手の中でも、松山は早いペースで数々の記録を塗り替えている最中であり、これまでのどの選手よりも確かな期待感を持たせてくれる選手でもあります。
そんな松山の強さの理由を、彼がPGA参戦1年目のルーキーイヤーで初優勝を飾った「ザ・メモリアル トーナメント」のホストを務めるジャック・ニクラスがコメントしていますので、ご紹介します。
※これまで当ブログでは「ジャック・ニクラス(ニクラウス)」と併記してきましたが、アメリカ等で、彼の名の実際の読み方としては「ニクラス」が一般的であるため、当ブログでは今後「ジャック・ニクラス」表記で統一します。
■ 2014年 「メモリアル」優勝時のニクラスの松山評
「彼のプレーはずっと前から良いと思っていた。昨年のプレジデンツカップの前の数試合、彼がプレーするのを見たけど、彼はテンポがすごく良い。それに、体のサイズが他の日本人選手よりも大きい。ジャンボ(尾崎将司、以下すべて編注)は大きかったし、青木(功)も背は高かったけど、強靱ではなかった。日本から来る選手はだいたいもう少し小さくて、石川(遼)も彼より少し小さいね。
彼は、そのままでゴルフコースをプレーする能力があって、飛距離を伸ばすこととか、筋力アップを図るような必要がない。
だから、彼のテンポはすごく良くて、冷静さがある。とても落ち着いているね。今日、16番で池に入れた時、すぐに全力でよりよいショットを打とうとしたのを見ただろう? あれが、彼について多くを語っていると思う。
そして、この先10年、15年にわたって世界でベストプレーヤーの一人となる選手の始まりを、君たちは見たんだと思う」
さらに、ニクラスは松山のパッティングストロークについて、次のように称賛した。
「まだ、彼がパットをミスするのをみたことがない。見ていると、すべてのパットを決めている。明らかに事実とは違うんだけどね。昨日、彼にはチャンスがあった。昨日のバックナインで、3~4回パットをミスしたんだと思う。
それに、彼のパッティングストロークはとてもスムーズだ。それを22歳で出来ている。あれだけ良いストロークをして、これだけのパットを決められるということは、ストロークが良いだけでなく、必要な時に両耳の間(頭脳)を使って、パットを決められるということだ。彼のパッティングストロークは、長持ちするだろう」
引用:GDO
■ 2015年 「メモリアル」をディフェンディングチャンピオンとして迎える松山に対するのニクラスの評価
(大会前 松山も参加したゴルフレッスンイベント後のニクラス公式記者会見)
・松山を過去の日本人選手と比較すると?
「青木功と尾崎将司のいいところを組み合わせたような選手だ」
「ジャンボと同じくらいの背格好だが、おそらくジャンボよりも正確性に優れたティショットを打つ。大きく、力強く、それでいて(青木のような)素晴らしいパッティングのタッチがある。信じられないほど素晴らしいタッチと、グリーン周りでのショートゲームに優れている」
・松山がなかなか2勝目が挙げられないことについては?
「毎週、惜しい戦いをしているだろう。新聞やテレビを見ていてもいつも名前がある。最近は勝っていないが、決して上位で戦っていないわけではない。これからも上位でプレーし続けるし、日本の象徴的な選手であるはずだ」
・PGAで松山が英語を使わないことについて批判も出ているが?
「みんなが思っているよりもよく英語を理解しているんじゃないか。ただ話したがらないだけ。それでも構わない。英語ができることで、ゴルフが上達するかは私にも分からない。英樹はまだ若い」
「海外から来て、私たちの言葉を学ぶのは大変なこと。いったい何人のアメリカ人が、日本や韓国なんかに行って、その国の言葉を学ぶだろう。そう多くはないはずだ。故郷を離れて、外国に住み、慣れようとする選手たちはそれだけで素晴らしい」
引用:GDOより 質問部分:著者要約
ニクラスは2年続けて、松山の体格について述べており「青木功と尾崎将司のいいところを組み合わせた選手」という日本ゴルフ界のレジェンド2人のティーショットの強さ、飛距離、正確性、アイアン、アプローチショットの技術、世界的にも評価の高かった青木功氏のショートゲームの巧さを既に兼ね備えていることを示唆しています。
これは松山がティーショットで無理をせず、飛距離を出しつつもしっかりフェアウェイをキープして打てる「余裕」があることを意味しており、筆者もここがこれまでの日本人選手と一番違うところだと思っています。
PGAでも有数のショットメーカーになりつつあり、今季に入り飛距離も増してきていますが、本人はまだまだパワー不足を感じており、クラブを持った練習はもちろん、かなりの負荷を掛けた「筋トレ」も欠かさずこなしています。
それに加えてニクラスが言う、ショートゲームの巧さも兼ね備えており、元々精度の高いアイアンショットでパーオン率も高い中、パーオンを外した場合のスクランブリングは素晴らしいものがあります。
アメリカ特有のバミューダ芝の粘りつく深いラフから、ピンをデッドに狙える彼の経験にも裏打ちされた高い技術は、日本ツアーからスポット参戦でやってきても身につくものではありません。
優勝した昨季の「メモリアル」のニクラスのコメントで、松山の冷静さにも言及していますが、彼の悪い流れを断ち切る切り替えの早さは、相当な精神力の高さの表われでもあります。
メジャーやフィールドの厚い大会で、物怖じしないことも含まれますが、ゴルフは自分との戦いの部分も大きく、ラウンド中のテクニカルな修正能力と失敗後の精神的な切り替えの早さは、トップレベルで安定した成績を続ける源泉です。
そして、昨年のニクラスのコメントでは「テンポの良さ」「パットの巧さ」も取り上げられていましたが、パットに関しては、ニクラスのリップサービスの面もあると思っていますが、元々松山はパッティングは得意な方であり、2013年は試合数は少ないですが「パットのスコアに対する貢献度」は高い数字を出しています。
そして「テンポの良さ」は、特にパッティング時に少しずつ悪化してきている様に見受けられるので、もう一度「速いテンポ」に回帰してもいいのではないか?とも考察しています。
最後に今季のインタビューでの松山が英語を使わないことに対する批判へのニクラスの回答には、
「ニクラスがなぜ長年に渡り紳士のスポーツ言われるゴルフ界のヒーローでありレジェンドであり続けるのか?」
「なぜ世界中のファンに愛され続けているのか?」
を端的に表す素晴らしいコメントだと思います。
以上がジャック・ニクラスが松山を評した言葉から読み解いた、彼の強さの理由と課題ですが、今後重複する部分もあると思いますが、他の先達や関係者のコメント、スタッツや筆者が見た印象等、様々な角度から松山英樹に迫っていきたいと思っています。
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