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【書評】映画化原作!『孤狼の血』柚月裕子著 第154回直木賞候補作!あらすじ・感想・レビュー

更新:2017年4月6日
著者:柚月裕子(ゆづき ゆうこ) 『孤狼の血』 出版:KADOKAWA 仁義なきマル暴刑事の孤高の闘い 正義とは何か?信じることとは何か?を問い掛けるのハードボイルドの傑作!役所広司・松坂桃李他豪華キャストにより東映で映画化が決定しました!

時は昭和63年、広島の所轄署捜査二課暴力団係、通称マル暴。違法捜査、ヤクザとの癒着も噂されるベテラン刑事の大上の下に、急遽配属されタッグを組んだ新米刑事日岡は、ある組のフロント企業社員の行方不明事件に携わることになった。

そこから発展した裏社会の対立、抗争に対し、手荒な手法で捜査に臨む大上の破天荒さに戸惑い、悩みながらも、日岡も抗争を止めるべく、大上と共に奔走する。精緻に組まれたストーリーと謎かけ、ラストまで息をつかせない臨場感とスピード感たっぷりに描かれた渾身の名作の誕生だ!

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100回を超える警察表彰という輝かしい経歴を持ちながら、訓戒処分も現役ワーストという孤高のベテランマル暴刑事、大上。

その大上の下に、新人刑事として配属されてきた日岡。

物語はその日岡の目線で描かれ進行していく。

2人の所属する所轄署は、広島県の呉原市にある呉原東署。

呉原はもちろん架空の地名なのだが、実在する呉市をもじっているはずだ。

そこで想起させられるのは、あの大ヒット映画「仁義なき戦い」だ。

私は読了後に知ったのだが、著者の柚月氏も「仁義なき戦い」の大ファンだそうで、広島ヤクザの言い回しや作品内の呉原と広島、そして関西の組同士の力関係等は「仁義なき戦い」の映画フリークも唸らせるであろう。

本作のストーリーは、ある暴力団の系列金融会社の社員行方不明事件から始まるのだが、新人日岡の先輩であり相棒の大上が捜査を進めていくと、やがて呉原での組同士の抗争事件に発展していく。

前述した通り、大上は暴力団との癒着や違法捜査を噂され、警察幹部も薄々感づいている部分はあるのだが、独自の捜査ルートを持ち、これまでにも多くの事件を解決しているため、上層部は苦々しくも半ば黙認している状態。

交番勤務1年と機動隊に2年所属し、刑事として初めて配属されたのが捜査二課暴力団係の日岡にとって、大上の言動は驚きの連続だ。

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出勤は毎日昼近くで、赴任初日の顔合わせは、大上行き着けの喫茶店。

挨拶に赴き、大上が煙草をくわえた瞬間「なに、ぼさっとしとるんじゃ!上が煙草を出したら、すぐ火をつけるんが礼儀っちゅうもんじゃろが!」と頭を叩かれる。

大上いわく「二課のけじめは極道と同じ。理不尽な世界に生きる者を相手に闘うには、自分達も理不尽な世界に身を置かないと極道の考えていることが分からない」という持論だ。

そして、2人1組で捜査を進めていくと、必ず情報提供者に小遣いを渡す。

刑事は自腹で協力者に謝礼を渡すことは、ある程度知っていた日岡だが、大上は協力者の人数、金額が多く、噂通りヤクザと癒着があり、金銭も受け取っているのではないか?と疑いを持つ。

そして、捜査の過程では捜索令状なしで、組員を脅し違法薬物を大上が仕込み、供述させたうえで逮捕する等、目的のためには手段を選ばない明確な違法捜査を目の当たりにし、日岡は反感させ覚える。

前述した通り、話は呉原での組同士の抗争に発展していくのだが、そこからは何としても抗争を止めようとする大上や、謎に包まれた大上の過去と現在が明らかになっていく。

その大上の姿を目の当たりにし、大上の過去を知った日岡は、正義とは何か?本当の悪とは何か?信頼出来るのは誰か?深い葛藤と試練を迎え、日岡が出した答えは?

しっかり組み立てられたストーリーと、リアリティを追求し臨場感たっぷりに描かれ、登場人物と共に物語の深みに読者を引き込む描写力は圧巻だ。

そして、緻密に散りばめられた謎と、思いもよらぬ結末、そこに行き着くまでのスピード感と躍動感は、読者を驚かせ、共に高揚させられる。

大上は差し詰め、映画「仁義なき戦い」のマル暴刑事版菅原文太であり、本作がもし映画化されることがあれば、菅原文太氏に演じて頂きたかったというのが、私の勝手なイメージだ。

本作が第154回直木賞候補にノミネートされたことも十分に納得出来るし、新境地を拓いた作者の柚月氏の今後の作品にも大いに期待を寄せたい。


第154回直木賞候補作発表!
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