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【書評・映画】『怒り』上・下巻 吉田修一著 2016年映画化! 吉田氏の新たな代表作に成り得る渾身の一作!【原作】

最終更新:2016年9月30日
『怒り』上・下巻 著者:吉田修一 出版:中央公論新社 2015年「本屋大賞」ノミネート・候補作! レビュー・感想・あらすじ・映画原作

監督・脚本:李相日、渡辺謙、宮崎あおい、妻夫木聡、松山ケンイチ、池脇千鶴、森山未來、綾野剛ら豪華キャストで映画化され2016年9月17日に公開されました!

原作著者略歴 吉田修一氏  1968年長崎県生まれ。1997年「最後の息子」で文學界新人賞を受賞 2002年『パレード』で山本周五郎賞、『パーク・ライフ』で芥川賞、07年『悪人』で毎日出版文化賞と大佛次郎賞、10年『横道世之介』で柴田錬三郎賞を受賞。

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作品紹介

東京八王子市で夫婦惨殺殺人事件が起きた。現場となった夫婦宅には血塗られた「怒」の文字が…。

事件から1年後の夏、房総の漁港で暮らす洋平・愛子親子の前に田代が現われ、大手企業に勤めるゲイの優馬は新宿のサウナで直人と出会い、母と沖縄の離島へ引っ越した女子高生・泉は田中と知り合う。

自身のルーツを明らかにしない何らかの事情の有りそうな田代、直人、田中にはそれぞれ惨殺事件犯人と共通すると思われる特徴が…。

人と人との距離感が上手く図れくなってきた現代日本の持つ深層心理を鋭く衝き、人を信じるとは何なのか?近しい人を愛することとは何か?読む者の心と価値観を激しく揺さぶる渾身の一作!

映画 『怒り』

本作は、吉田修一原作映画『悪人』でも監督を務めた李相日監督・脚本により、渡辺謙、宮崎あおい、妻夫木聡、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、ピエール瀧、三浦貴大、高畑充希、原日出子、池脇千鶴ら豪華キャストで、2016年9月公開予定で映画化されます。(敬称略)

映画『怒り』公式HP

映画『怒り』公式サイト

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著者の吉田修一氏は既に芥川賞も受賞され、エンタテインメント部門の各賞も受賞。

これまでに数多くの作品を出版し、映画化もされている既に超有名作家と言っても良い存在。

そんな吉田氏の今回の『怒り』はこれまでの代表作『悪人』に替わる新たなる代表作と出版元の中央公論新社が謳っていますが、まさにその名に恥じない「読み応え十分」な作品です。

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4つの物語が同時並行

八王子郊外で起きた「夫婦惨殺事件」から1年経つが、見付からない犯人。

全く別々の場所で別々の人々の元へ現われた何らかの事情がありそうな前歴不詳の3人の男達。

この3つのストーリーと犯人を追いかける刑事の苦悩が平行して作品を紡いでいきます。


幼少期から周囲より少し鈍い娘の愛子は人に騙されやすく、突飛な行動も取るため、いつも心配で仕方がない父親洋平の父娘。

地元漁協で働く洋平の元にアルバイトで働かせて欲しいと突然現われた田代。

しかし、田代は自分の過去を知られることを極端に嫌がる。

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家族には自分がゲイであることをひた隠しにするが、派手に男漁りを続け、その場限りの関係と割り切って遊び歩いてきた優馬の前に現われた直人。

割り切った関係のつもりで始めた直人との生活を送るが、優馬は直人に今までにない人間性を見いだし、直人とは将来のことも考え出すが、人をそこまで信頼していいのか?疑心暗鬼に陥ってもいる。


母親の奔放な男性関係のため周囲の誤解と偏見により、住む所を転々と変えていく娘の泉。

沖縄の離島に高校を転校した泉は開放的な生活に安住の地を見いだし、同級生の辰哉と恋にも似た関係を築き、少し離れた無人島に辰哉のボートで一緒に行くことにスリルと安息を感じる日々を送る。

ある日、泉は今は無人島となったその島の廃屋に住む謎多き男田中と出会う。


そして、犯人を必死で追う刑事の北見。

警察は1年経っても逮捕出来ない状況に、テレビの警察特集番組での公開捜査に踏み切る。

徐々に明らかになっていく犯人像とその特徴。


それぞれに苦悩や事情を抱え生きる人々の複雑な心理描写を卓越した表現で描き、ミステリーとしても、舞台を別に平行して進む4つのストーリーを交錯させ謎を深めていく様は見事としか言い様がありません。

人と人の距離感を本当に微妙で繊細なタッチで描き、相手の心の中に上手く入り込めないことから生まれたほんの僅かな齟齬(そご)と誤解が、やがてとてつもなく大きなものへと肥大し物語はラストへと突き進みます。

「人を信じること」「人を愛すること」の難しさ「真実とは一体何か?」という本質に吉田氏は真摯に向き合い、問題提起をし、読者に問いかけてきます。

『怒り』はミステリー作品としても一級品でありながら、その高い文学性も相俟って、読む者の心と価値観を揺さぶる中身の分厚い作品となっています。

本作は「本屋大賞2015」の候補作でもあり、その選考には出版界の諸々の事情も絡み、それが理由で「大賞」に選ばれない可能性もありますが、候補作をある程度読んでの現状の感想として、私は本作『怒り』が大賞に相応しいと思っています。






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